水没を繰り返すローマの歴史

世界遺産を紹介するテレビで「イタリア・ローマは15mもかさ上げされた」と報じていた。地下15mも下に2000年前の宮殿の壁画が残っており、それを修復しているらしい。古来よりテヴェレ川の氾濫で町が何度も水没し、その度にかさ上げしてきたのだという。その結果、家の上に家がつくられ、そしてまた家がつくられ、今のローマになった。

女川も地震で地盤沈下が起き、最大120cm沈んでいる。我が屋の場所も当然ながら1mほど沈んでおり、満潮時には海と化す。女川の復興計画ではこの海岸エリア周辺は5mのかさ上げをするらしい。工事に反対ではないが、なんとも寂しいなぁと感じていた。
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イタリアローマのことを知った今、女川の5mかさ上げ計画について「悪くないな」と考えをシフトした。自分が知らないだけで、世界ではこうした歴史が重なっているのである。自然には逆らえない上、人間が「どのように快適に暮らして行くか」を試行錯誤して、新しい町が作られて行くのだ。ぜひ女川にも応用して欲しい。

女川では工事の便宜上いったん更地にするのだが、ローマのように残った建物をそのままにした方がロマンがあるかもしれない。2000年後に地下を発掘するような大プロジェクトがもし行われ、「2000年前の東日本大震災で残った写真館の暗室です」なんてことになったら、と考えたら悲しい出来事もちょっとは楽しくなる。あるローマのホテルでは、部屋の下がスケルトンになっていて遺跡が見える仕組みになっている場所もあり驚いた。2000年前の家の持ち主は憤慨するかもしれないが、現代の私達は歴史を知ることが出来るし、なによりもそれが残されている点に置いて郷土の歴史を誇りに思うことだろう。

現在、女川では90度に倒れた交番や会館が残されている。移築案もあるが、私は移築せず、ぜひそのまま保存してほしいと思う。かさ上げした新しい海抜5mの上から、保護された倒れた建物を見下ろすかもしれないが、それでいいと思う。90度に倒れた建物はいずれ「遺跡」であり「財産」になる。その場所にあることが津波の痕跡を伝えてくれるのだから。時が経てば必ず忘れてしまう日が来る。世代が変わる遠い未来の子供達にもきちんと伝えなくてはならないのだ。
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by monchicamera | 2012-01-04 14:48 | 311とその後
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