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においの記憶〜焼肉幸楽

我が家のお向かいさん。まさに「女川のソウルフード」。日経で取材してくださったんですね。嬉しいです。

日経BPネット:焼肉を故郷の味にした、女川「幸楽」~味から始まる復興~

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私が生まれた時からずっと付き合いのある幸楽さん。先代の時代からずっとずっと仲よくさせていただきました。家族を亡くした辛さは我が家と同じで、いやそれ以上で。震災から仮設住宅へ入居するまでの8ヶ月間、避難所で独りでした。一番頼りにしたかったであろう、おみくん(奥さん)が居てくれたら……と避難所にいる富五さんを訪ねる度に何度も思いました。

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きぼうのかね商店街で店舗を構えることができる!と決まったとき、主人の富五さんの喜んだ顔がとても印象深かったです。普段はあまり表情に出さない人なので、悲しみも喜びもにじみ出ていました。

2012年の4月末(つまり震災から1年以上経ってから)ようやく新店舗を構えることができました。GWに東京の大学に通う息子が帰ってきて、仕込みを手伝っていました。新規開店前の幸楽のドアを開けた瞬間、牛骨野菜スープのダシの匂いがふわーっと優しく香りました。鼻の奥から脳へと巡り、あの頃の記憶や懐かしい女川の町並みが思い出されました。

「あ、幸楽のにおいだ!」

私が子供のころから嗅いでいる記憶のにおいです。まるでそこに、おみくんとばっぱ(義祖母)がいるような感じがしました。子供の頃、我が家の夕食が気に入らなくてすねてしまって、お向いの幸楽へ行き、まかないをよく食べさせてもらっていました。今もお店のダシのにおいを嗅ぐ度に、私の頭の中には、子供のころの女川の風景がすーっと広がります。

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新しくオープンしたお店は、毎日お客さんで賑わっています。ひとりで切り盛りしているので大変そうですが……味はピカイチです。女川へお越しの際はどうぞご利用くださいませ。
by monchicamera | 2012-11-22 13:29 | 311とその後
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