音楽と旅と

その景色に出会うとき、頭の中に浮かぶメロディーがある。もし私が作曲家なら頭に浮かんだメロディーを口ずさみ歌を書くだろう。だが残念ながらそういう類いのセンスを持ち合わせていない。だからこそ、シャッターを切るのかもしれないし、文章を書くのかもしれない。

旅の思い出は、歌に込められるときもある。あのシーンで聴いた曲、あの時街に溢れ出していた曲、感情が極まってとある曲を思い出したり、夜風に吹かれながら大好きな曲を口ずさんだり。思い出と音楽は切っても切れない関係だ。

今日はそんな話の1つ。

メキシコは通算3年通った。前にも書いたように、自分の中でしっくりきた国だった。露店には海賊版のCDやDVDがごまんと売っている。当時は1枚5ペソ(50円)だったかな。市場でにいると、現地人に混ざった感覚になってワクワクする。とはいえ、生鮮食品はいらないし、衣料品も特に欲しくない、というときに買うのがCDだったりする。持ち帰るにも薄いし軽い。
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スペイン語も分からないし、ラテン音楽の良さもよくわからないので、当然ながら「ジャケ買い(※ジャケット写真を見て好きなCDを選ぶこと)」をすることになる。日本のタワーレコードのように気の利いた視聴マシーンなんて露店には存在しない。好みの音楽”あたり”の時もあれば、ピンとこない”ハズレ”の音楽もあった。

露店のお店の人はCDプレーヤーで試させてくれるが、それは音楽がなるかどうか?という視聴であり、好みを選別するための視聴ではないような雰囲気が漂っていた。「これ試せる?あれも、それも聴いてみたいです!」というと店主はイヤな顔をする。

と、そこに地元の男の子が通りかかった。「僕の音楽聴いてみますか?」ーースペイン語が分からなかったが、たぶんそんなことを言っていた。彼は自分の聴いていたヘッドホンを差し出した。ノリノリのラテンロック。うんうん、これこれ。好きな音楽に囲まれ、その街にとけ込める瞬間が好きだ。こうした状況で現地の人の優しさにふれることは旅の醍醐味だと思う。
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彼に聴かせてもらった音楽は、”Bacilost”の「caraluna」というアルバム。ラテングラミー賞を受賞しているバンドだった。サルサやタンゴのリズムも盛込んだりしているラテンロック。耳に入ってくるスペイン語も心地よかった。さっそく同じものを購入し、日本に帰ってきた後もずーっと聴いていた。この音楽を聴けば、いつでもメキシコにいるような気分が甦ってきた。

先日部屋にあった大量のCDを片付けた。ふと目に留まったBacilosのCD。中身はからっぽだった。どこかに置き忘れてしまったらしい。また部屋の片隅に置かれることになった。

今はすっかりジャケ買いなどしなくなった。ネットで配信された音楽を買うことができるし、視聴もすきなだけできる。youtubeで好きな歌手のPVを無料で見ることだってできる。便利だが、つまらない時代になってしまった。

が、今日はその恩恵を受けることにした。もう出会えないと思っていたbacilosの音楽をiTunesで買うことが出来たのだ(なぜ今までこの方法を思いつかなかったのだろう?)彼らの音楽を聴き直し、心は一気に旅先へと飛んでいく。まるで、ドラえもんのどこでもドアのような感じ。

旅と音楽は、いつも世界を繋いでいる。
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by monchicamera | 2013-07-17 14:59 |
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