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いまの正直な気持ち〜もうすぐ3ヶ月

テレビや雑誌の取材で「発生直後から現在までの気持ちの変化は?」と聞かれるが、そんな質問をされても困る。気持ちの変化なんてその日によって違うし、何度も(何社も)同じ質問で辟易する。遺族にとっての震災と津波。受け止め方は千差万別だ。変わりない日常を過ごそうと努めている者には、普段通りの接し方がベターだと思う。

私の場合、辛すぎた事実をまず自分の思考回路の外に置いた。「事実を受け入れない」のではなく、「意識的にコントロールすること」によって、自分の悲しみを半減させていたのだ。震災当初はそれでよかったが、徐々に時間が経つにつれ、ゆっくりと悲しみが表に出てくるようになった。

旦那は「人が死んで一番悲しいのは、その人を思い出す時だよ」と言っていた。
確かにそうである。思い出すほど切なく悲しい。

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最近、子供の頃よく通った路地を25年前の姿で思い出す。女川バイパスが出来る前だ。ここからどこへ繋がっていたんだっけ?…思い出そうとするが記憶が途切れる。次に自分の家を思い出す。たくさん並んだコーヒーカップ。お母さんの愛用していたサイフォン。これらの物はどこに行ってしまったのだろうとイメージする。そして家の階段や柱はどうやって壊れていったのだろうと考える。そのうちに疲れて、思考回路をストップさせる。

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悲しむ事は悪い事じゃない。だけどそれなりに体力がいる。悲しむのは自分の好きなペースで行いたい。悲しみをシェアする方法もあるだろが、私は一人で儀式的に行うのが好きだ。だから知り合いからの悲しい電話は未だに苦手だし(泣かれても困るし返答にも困る)、自分から話す分にはいいが、他人に質問されると嫌になる。姉とはいつも笑い話しかしない。

逆に「がんばろう」とするときは、1人じゃない方がいい。たくさんの支え合う人たちがいた方がいい。こういう時の友人たちの支えは本当にありがたく感じる。震災を機に出会えた方もたくさんいる。

どうにもならない現実。家は無くなったし、親はいなくなった。現実は変わらない。

辛いかと聞かれれば、辛くはない。
悲しいかと聞かれれば、悲しくない。
仕事に夢中になったり、新しいことに取り組むことが、悲しみとの上手な付き合い方かもしれない。新しいことにチャレンジすることでバランスがとれる(気がする)。

いまの正直な気持ち。

みなさんは、どんな風に過ごしているのだろう。
by monchicamera | 2011-06-05 21:51
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