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世界一の美食の街〜サンセバスチャン〜

みなさんは写真にあるこれらの料理が、一皿いくらだと思いますか?
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しかもこれが、立ち食いで、激安で、庶民の酒のつまみだとしたら驚きませんか?ーーーその答えが、スペイン・サンセバスチャンにあるんです(ちなみに上の皿は300円!)

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バスク地方にある人口18万人の街、サンセバスチャン。フランス国境近くに位置し、ここバスク地方は日本人がイメージする「太陽、闘牛、フラメンコ」のスペインとは一線を画す。スペインでありながら似て非なる国。独自な言葉と文化を頑なに守り続ける国。そしてその中にある、こじんまりとした古い街に世界一の美食レストランが建ち並ぶ。それがサンセバスチャンである。ビスケー湾の海の恵みと、豊富な雨がもたらす野菜たち、そして肉やワイン等、食材は一級品である。スペインで有名なBAR(バル)のおつまみ「ピンチョス」は、このバスク地方が発祥だと言われている。

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単なる美食ブームでしかないならば、私たちはわざわざ訪れなかっただろう。ここには素晴らしい観光開発のヒントが隠れているのだ。あえて呼ぶなら「サンセバスチャンの奇跡」と私は呼びたい。この街には、ミシュラン星獲得の高級レストランが何軒もあり、立ち飲みBARの軒数も多い。価格帯がピンからキリまであるのに、しかもどこのお店に行っても美味しいのだ!

15年前ーーー1人のシェフがサンセバスチャン独自の分子料理を確立し、新しい料理の世界を生み出した。そして地元に料理学校を設立し、現在もたくさんの弟子達を育て続けている。ここではレシピはフランスのような秘伝レシピではなく、きちんと図式化され公開されている。レシピを共有することで生まれる、技術や味のレベルアップ。それこそがレストランの競争に繋がり、さらなる味のレベルアップに繋がるのだ。料理学校には世界中からシェフの卵たちが集まって来る。その結果、食産業として街の経済が回るのだ。

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正直いうと、サンセバスチャンは不便な所にある。ヨーロッパ圏内ならば、マドリードやバルセロナへ飛び、そこからは100人弱乗りの小さな飛行機に乗ってくる。もちろんフランスから電車で来ることもできるが、それほど便が良い訳ではない。にもかかわらず、世界中から「食べたい」というだけで、わざわざサンセバスチャンに訪れるのである。そして皆この街の虜となり、また来たい!と思うのだ(私もすっかり魅了された1人だ!)

驚くのはこのストーリーがたった10年間の出来事だということだ。2000年に入ってから起こった食の革命。そして地域の街おこし。「世界一の美食の街」と呼ばれるまでに成長した事実がここにある。「食」という観光資源をフルに活かし成功した例は珍しい。日本にも豊かな食材はあるし、それを活かす伝統の和の料理はたくさんある。日本が生き残る術は、サンセバスチャンに隠されていると私は思う。

気になった方は、高城剛さんの著書も読んでみてくださいね。
by monchicamera | 2012-10-18 22:14 |
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